はじめに
楽曲について
『Stories』は1989年発売のTUBEの10枚目のシングル。
同年発売されたTUBEのベストアルバム『TUBEst』にも収録されているほか、
1994年発売のバラードベストアルバムである『Melodies & Memories』にもセルフカバーされ別アレンジで収録されています。
TAB譜はこちら
ギターソロについての解説
今回の楽曲のキー(調)について
『Stories』はギターソロ以外のセクションはAメジャーキー、
ギターソロのセクションではCメジャーキーに転調しています。
ギターソロの終盤で上手くAメジャーキーに転調し直して元のキーに戻っているのが特徴です。
『Cメジャーキー』=『Aマイナーキー』と捉えることができるので、
ソロ以外は「Aメジャーキー」、ソロは「Aマイナーキー」と捉えることができます。
『A』という同じルートを持ったメジャーキー(明)、マイナーキー(暗)のそれぞれのダイアトニックコードを曲中に行ったり来たりする手法はよくあります。
ギターソロのコード進行について
ギターソロのセクションのコード進行はほぼCメジャーキーのダイアトニックコードで構成されています。
Cメジャーキーのダイアトニックコードは以下の通りです↓
FM7とF、G7とGはほぼ同じものと捉えてください。
ほぼCメジャーキーのダイアトニックコードで構成されていることがお分かりいただけるかと思います。
スケールについて
曲のキーがCメジャーキーなので、使用しているスケールはほぼCメジャースケールを使用しています。
使用されているスケールをコードごとに明記するような一般的な解説はあえてこちらでは割愛します。
少し音楽理論を勉強した方であれば「Dm7のコードにはDドリアンスケールを・・・」
といったスケールの情報と音の羅列だけを載せたようなありきたりな解説はもう見飽きた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
各フレーズのポイント
【2〜5小節目】メジャースケールを中心としたフレージング。
Am7の小節ではブルーノート(3弦20フレット)を使用した春畑さんお得意のプレイ。
【6小節目】3弦4フレットと1弦7フレットはDm7コードに対してのテンションノート(13th)を使用することで、
単調にメジャースケールを駆け上がるだけでなく独特の浮遊感を醸し出している。
【7小節目】ぺンタトニックスケールを用いたフレージング。
1弦7フレットのみEm7の5度の音を使用していると捉えると、残りはAマイナーペンタ(=Cメジャーペンタ)一発。
【8小節目】上記のフレーズと順番は変わるが、例えば3弦14フレット→2弦13フレット→1弦13フレット→1弦17フレットの順番に鳴らせば、
Fコードのトライアド(コードトーン)になっていることがわかる。
【9小節目】上記のフレーズと順番は変わるが、例えば3弦16フレット→2弦15フレット→1弦15フレット→1弦19フレットの順番に鳴らせば、
Gコードのトライアド(コードトーン)になっていることがわかる。
【10〜11小節目】ギターソロの進行の中で唯一のノンダイアトニックコード。
C♯の音がAメジャーコードの3度の音になり、この小節からキレイに転調前のキーに戻っている。
【12小節目】右手の手刀部分を弦の上に軽く触れたままハイポジションからローポジションに(本体部分からネック川の方向に)かけてスライドさせつつ、
左手は開放弦と任意の弦・フレットを押さえトリルすること(プリングオフとハンマリングオンを素早く繰り返すこと)で独特なハーモニクス音を出している。
さいごに
春畑道哉研究所、記念すべき第1回目はTUBEの10枚目のシングル『Stories』でした。
ちなみに『Melodies & Memories』に収録されているバージョンのStoriesは、
ガットギターでしっとりとやさしいサウンドで演奏されいて、ギターのフレーズも全く異なる演奏になっています。
ソロも素晴らしいのですが、歌中のバッキングやオブリガードも秀逸で必聴です。